ネットワーク 物理層

@asya_aoi1049 on Mon Sep 24 2018
7.0 min

物理層とは、何でしょうか?
物理層は、ネットワークが構成される最も最下層の土台となる部分です。
物理層では、異なる物理チャネルを通して、アナログ信号をデジタル信号に変換し元に戻すというデジタル変調が行われます。

物理チャネルには、2つの基本的な限界が存在します。

  • ナイキスト限界
  • シャノン限界

の2つの限界です。

ナイキスト限界

サンプリング周波数(1秒間でサンプリングできるデータ数)に対して、この時表現できる最高の周波数は、サンプリング周波数の半分になる、というものです。
これは、雑音のない2kHzの帯域を持つ通信路を考えた場合、最大でも4000bit/sの速度でしか2進数信号を送ることができないという限界を表します。

シャノン限界

これは、帯域幅を広く取ろうとすればするほど、雑音が入る余地ができてしまい、転送距離の短い範囲でしか有効に働かないというものです。

ここで、伝送媒体について見ていきましょう。

磁気媒体

あなたのPCから、ある別のPC(それもあなたのすぐ近くにある)へデータを持って行こうと思った場合、USBメモリにデータを入れて別のPCへ持っていくことでしょう。
このようなケースにおいて、USBメモリのような磁気媒体は費用対効果が非常に優れています。

より対線

磁気媒体は費用対効果が優れていましたが、遅延特性についてはそうではありません。
磁気媒体よりも遅延特性が優れており、最も利用されている伝送媒体がより対線です。
より対線にはいくつか種類があり、cate5,cate6,cate7(cateはカテゴリの略)などが存在します。

同軸ケーブル

またよく用いられるケーブルに、同軸ケーブルが存在し、これはケーブルテレビに用いられています。
以前は、電話システムの長距離回線に利用されていましたが、最近ではそのほとんどが光ファイバに置き換えれています。

電力線

電力線をネットワークに用いる試みは古くから存在します。家電やその他の電化製品に電力を共有するための電力線を情報伝達のためにも利用できるため、世間の関心が高まっています。

光ファイバ

光ファイバは、バックボーンの長距離伝送や高速LAN、FTTHなどの高速インターネットアクセスに用いられています。
光ファイバはガラスでできており、光がガラスの中で屈折することで何Kmも伝搬することができます。これらの光の入射角を変えることで、1つのファイバ内でいくつもの光を伝送することが可能となります。この時、それぞれの光はモードを有しているといい、このようにいくつもの光を伝送するファイバをマルチモードファイバと呼びます。
一方、ファイバの直径を光の波長の数倍まで小さくした場合、光は反射ではなく直線上を伝搬するようになります。このファイバを、シングルモードファイバと呼びます。

これまでは、有線伝送について見てきました。
次は、無線伝送を見てみましょう。

電磁スペクトル

電子が動く時空間の中を伝搬する波を電磁波といいます。
1秒あたりの波の振動数を周波数といい、これはHzという単位で測られます。
この波の振動や周波数、位相を変化させることによって、無線、赤外線、マイクロ波、可視光線は情報を伝搬するのに用いることができます。
一方、紫外線、X線、ガンマ線は変調させることが困難であり、また人体に有害であるため、用いることは難しいと考えられています。

マイクロ波伝送

赤外線伝送

光伝送

ここまでは、有線と無線のチャネルに着目していました。
次は、これらのチャネルを流れるアナログ信号とそれらをビット列に変換するデジタル変調について見てみましょう。

ベースバンド伝送

ビットを直接信号に置き換える方式をベースバンド伝送といいます。
ベースバンド伝送では、正の電圧で1を表現し負の電圧で0を表現(またはこれらの逆)します。
この方式をNRZ(非ゼロ復帰)と言います。

また、1つのチャネルは複数の信号で共有される場合があります。これを多重化といいますが、どのような種類が存在するのか見ていきましょう。

FDM(周波数分割多重)

FDMとは、チャネルごとに分割した周波数帯域を利用者が排他的に利用する方法です。

TDM(時分割多重)

FDMに対して、利用者が複数のチャネルを時間毎に取得し、ラウンドロビン方式で伝送する方法をTDMといいます。

CDMA(符号分割多重)

CDMまたはCDMAは、複数の通信を同時に行う場合でも、それぞれの通信を符号理論を用いて分離するため、複数の利用者間で同じ周波数帯を利用できます。

これまで紹介したチャネルとは別のチャネルに着目してみましょう。

公衆電話交換網

PSTN(公衆電話交換網)は、人間の声を理解できる形で伝送するという目的で構築されたものですが、この電話交換網をいかに効率良く利用するかという課題に、多くの研究者が労力を費やしました。
そもそも、電話システムの構造は、1対nの構造となっていました。つまり、1人がほかのn人とつながろうと思った場合、回線をn本引かなければいけないということです。
この課題に気づいたBellは、単一の電話局モデルをつくり、その後電話局5階層からなる電話システムができあがりました。

電話交換網を通して、ビットストリームとアナログ信号を変換するための装置をモデム(変調器複合器)といいます。

携帯電話システム

携帯電話システムは、1G、2G、3G、4Gといった世代に分割できます。

  1. アナログ音声
  2. デジタル音声
  3. デジタル音声及びデータ
  4. 広帯域、偏在性

ケーブルテレビ

ケーブルテレビは、田舎や山岳地域に住む人々により良い受信環境を提供する目的で考え出されました。
その後、ケーブルテレビのネットワークは発達し、都市間のケーブルは広帯域のファイバに置き換えられました。長距離接続にファイバを用い、家庭には同軸ケーブルを用いる方式をHFC(Hybrid Fiber coax)といいます。

参考文献
コンピュータネットワーク
FDM→
http://itpro.nikkeibp.co.jp/pc/article/NPC/20070517/271423/?rt=nocnt
シャノン限界→
http://www.futaba.co.jp/industry/technology/tech01/tech01_theorem_of_shannon
フーリエ変換→
http://www009.upp.so-net.ne.jp/hachinami/note004/

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